Jim O'Rourke "The Visitor"
2010/08/15
ジム・オルーク8年ぶりの新作。全1曲、約38分。師匠であるデレク・ベイリーに捧げられている。スリーブデザインからも分かるように、『Bad Timing』(1997年)の続編的作品。おおう、あのアルバムって、もう12年も前なのか。
信じられないことに、全ての楽器の演奏が彼によるもの。しかも、無編集。スティーヴィー・ワンダーとかトッド・ラングレンとか独りきりで全部やっちゃう人はいくらでもいるが、ほとんどフルオーケストラよろしく30、40種類もの楽器をクリックなし無編集ですよ、奥さん。インタビューによると、
- トロンボーンは持ってなかったので、買って練習した。メチャムズかったよ
- ペダルスティールは、10秒の部分に1ヶ月ぐらいかかったよ
- そんなこんなで、トロンボーンとペダルスティールの練習と録音だけで1年かかった
・・・らしい。いや、緩めの楽器にそれだけ力を入れるところがこの作品を非凡なものにしてるのだろうが、それにしても。
Bad Timing同様、フォークギターを中心としたアメリカーナなノホホンとした音像であるが、そこに込められた情報量と精密度は凄まじいばかりで、私の頭ごときでは5分もかからずパンクしてしまう。かなり長いお付き合いになりそうな作品です。