ナベQと10.12の思い出

   

今年の日本シリーズは、近年稀に見るおもしろさであった。視聴率は最高で、関東が39.9%、関西が42.0%いったらしい。パリーグファンの私は、もちろんライオンズを応援していたので、おもしろい&うれしいの幸せな夜でした。

ライオンズは渡辺久信が率いていることもあって、あの黄金時代が再び到来することを予感させるような戦いっぷりで、元近鉄バファローズファンとしても感慨深いものがありました。

森時代のライオンズといえば王者の中の王者、一分の隙もない圧倒的なチーム。そんなチームの中で絶頂期を迎えていたナベQは、近鉄ファンとしては本当にニクタラシイ存在でした。それだけに、1989年10月12日、ダブルヘッダーの1試合目、ブライアントに決勝ホームランを打たれた時のナベQの絶望的な表情を忘れることができません。圧倒的な対戦成績で「ブライアント・キラー」と呼ばれたナベQが、マウンドに崩れ落ちながら呆然とスタンドを見る姿は、近鉄ファンからしても「美しい」と思わせるほどに見事な散り様でありました。私が知る中で、あれほど美しく奈落の底に落ちる姿を見せたピッチャーは後にも先にもありません。

結局、ブライアントはこの日4球を挟んで4打席連続ホームラン。神が降りてきたとしか言いようのない、圧倒的な活躍でした。バファローズはこの日の勢いで劇的なリーグ優勝を決めたものの、日本シリーズはジャイアンツに3連勝4連敗。伝説となった、加藤哲郎の「巨人はロッテより弱い」シリーズですな。

とにかく、この頃は圧倒的に強いライオンズに立ち向かっていくバファローズ、ブレーブス(ブルーウェーブ)という図式があったからこそ数々の名勝負が生まれ、「熱パ」としてパリーグが盛り上った訳です。今のパリーグも一頃に比べれば十分おもしろいのですが、やはりあの頃のライオンズのように圧倒的な存在がないと熱くなれません。今のチームは2年後、3年後にそんな存在になるかもしれないという期待を持たせてくれますが、としても、近鉄バファローズが永遠に不在であるというどうしようもない事実にまた打ちひしがれてしまう訳です。

もう4年になりますが、年を経るごとに好きなチームが消滅するということがどんなことなのか身に染みて感じる次第でございます。当時の猛牛戦士である梨田、大石がそれぞれパリーグのチームを率いているのが、唯一の心の支えです。

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