学研 テルミンmini 改造 #1 Herbie Hancock “River”
Oct 08

グリコ・森永事件「最終報告」 真犯人グリコ・森永事件が幕を開けたのは、私が中学1年の時。家のわりと近所で拉致誘拐された江崎社長が発見され、その後も良く知っている場所が次から次へと事件の舞台になった。そんなこともあり、私の人生で最も印象深い犯罪事件である。

江崎社長誘拐事件が1984年3月。犯人が終結宣言をしたのが、1985年8月。この年は、豊田商事の永野会長刺殺事件、日航機123便墜落、阪神タイガース優勝、ゴルバチョフ就任など印象に残る事件が多い。中学3年だった私は気にしてなかったが、後のバブルに重要な意味を持つプラザ合意もこの年だ。とにかく、やたらと浮ついた世相な中、犯人達は重犯罪を繰り返しながら警察を翻弄し続け、それでいて直接的には誰一人傷つけることなく(怪我くらいはさせたが)、余裕で時効を迎えた。そしてこの事件は「昭和最大のミステリー」と呼ばれるようになり、ある種の人達にとって犯人達は英雄視されるようになった。

一方、「国内犯罪史上最大の銀行強盗事件」が、1994年8月に神戸で発生する。元町の福徳銀行から5億4000万円が強奪されたのだ。こちらも当時はかなりの話題を呼んだ。白昼堂々繁華街の中心部で、全く人を傷つけずに、わずか2人があざやかに巨額の現金を強奪したのだ。リアル「ルパン3世」となぞらえられほどであった。

前置きが長くなったが、要するにこの本は、「神戸5億4000万円強奪事件の犯人の一人は、グリコ・森永事件の犯人だったんすよ」という内容である。本当なら驚愕である。芥川賞と直木賞両方取りました、というよりすごい。YahooとGoogle両方立ち上げました、くらいか。とてつもなくものすごい犯罪者である。俄然この人物に興味が湧く。

残念ながら筆者(私と同い年)は、ネタをふっておきながらこの興味には「そこそこ」までしか答えてくれない。犯人とされる人物に対しては、物故者とはいえごく少数の証言だけで全く突っ込みが足りないし、証拠もあやふやなものが1つだけ(5分5分かなあくらいの説得力はあるが)。それでもまあ、事件の経緯についてはよくまとまっているし、警察OBや犯罪者側の人間に体当りしていく取材にも迫力がある。何よりもこの事件の特徴である、関西マイノリティの深い闇とそのバイタリティに光を当てる姿勢に好感が持てる。

関西人なら買っておくべき本であろう。

コメントをよろしく!