大映ドラマ + ロードレース 斎藤 純『銀輪の覇者』 モデスト・マウス 『生命の大航海』
Sep 07

サクリファイス自転車ロードレースは、団体競技でもあるし個人競技でもある。それはチーム内の関係に集約されている。絶対君主とその奴隷達。極端に言うとそういうことだ。アシストはエースの為に全てを尽し、エースはアシストを徹底的に消耗させ、最後は踏み台にして前へ行く。

おそろしくシンプルな小説だ。主題はそのまんまタイトル通り、自転車ロードレースに特徴的なこの自己犠牲。ロードレース初心者は、まずエースとアシストの関係に驚き、実際にそれを確認してちょっとした感動を覚える。この驚きと感動がそのままストーリーになり、ラストでは、ロードレースにおいておそらくは究極的な自己犠牲が描かれる。この「究極的な自己犠牲」とは何だったのか、というところがミステリ仕立てになっている。

作者についてはよく知らないが、おそらくオールドなロードレースファンでなく、わりと最近ファンになった人と想像する。ロードレースの特徴を初めて知った時の驚きと興奮、ロードレーサーに初めて乗った時の浮遊感と全能感が瑞々しく描かれ、文章のうまい俺が書いてんのか、と思うくらいの共感に満たされる。また自転車小説を書いていただきたいと切望いたします。

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